リベラルじゃダメですか?(祥伝社新書) (祥伝社新書 375)

 時の有名人をかたっぱしから、診察せずに報道だけでエスパー診断しちゃうフロイト占い芸人*1としてマスコミで重宝されたあの名高い香山リカこと医療法人社団こころとからだの元氣プラザ勤務の中塚尚子女史(ネット民の間では「アカウントを乗っ取られた」で有名な方ですな)が、最近インターネットで自分の評判が大層芳しくない、引いては己たち一派(「リベラル派」と称している。)が嫌われているのは一体何故だろう…、と考察をする本。

何故だろう…。

 彼女は所謂日本社会の右傾化が一因と考えているようだ。そして何故2000年代以降に右傾化が進んだのか、と話は進む。
 常識的に考えると『右傾化』の原因は、まずは日本に於ける左翼的理念のある程度の達成完了とその後の行き詰り*2、次に、東アジアにおける米帝の影響力低下と中国の台頭によるリスクの増大、と思われるが、そういった方向の話は特に無かった。何か「癒しとしてのナショナリズム」が流行ったからだそうな。あと反知性主義が云々。んー。左翼はなぜ衰退したのか (祥伝社新書)とは大分違う情緒的な理由だな。「ポジナショナリズム」か…流行るかなー。「新型うつ」は彼女の造語でかなりヒット作らしいが…。
 一応、大江健三郎らと同じく「定見を持たずなんでも反対のいつもの人達」と思われている自覚はあり、実際どの反対集会に参加してもメンツが毎度おなじみらしく、

まるで「護憲で死刑反対、電力は脱原発自然エネルギーは、ヘイトスピーチを阻止しようとし、沖縄の基地は国外移設でTPPには反対で死刑制度廃止」という一から十まで同じ考えの人達がどこかに集団で暮らしていて、その「リベラル村」からいっせいに手紙やメールが送られてきているような気にさえなった。
 よく考えてみると、本来は秘密保護法反対にもいろいろな人がいてよいはずだ。

…と書いているのだけれど、その次の章で2014年の都知事選にて細川護熙元首相が脱原発を争点に出馬した際に、宇都宮健児候補支持者が細川護熙支持派に合流せず、「リベラル派」の票が割れて舛添要一知事誕生、を嘆いていてダメだこりゃ。宇都宮健児の政策を支持する人は原発に反対する筈、と決めつけている自覚が無い。大体、東京都知事原子力発電への見解で選んで良い訳がないだろう。
 特定秘密保護法に対して気付く事に原発の事になるとコレなんだよな。東日本大震災原発事故はある種の人々に宗教体験をもたらしたらしく、あれを契機に言動に変調を来した人ネットでも散見するがこの、香山リカこと医療法人社団こころとからだの元氣プラザ勤務の中塚尚子女史もその一人である。
 反原発活動家=アフォと見て良いだろう
 私見だが、我々が、彼女の言う「リベラル派」の中でマトモな人度を測るには、アベノミクスへの評価と、福島第一原発事故由来の放射線による健康被害への評価を聞くのが良いのではないかと思う。

リベラルじゃダメですか?(祥伝社新書) (祥伝社新書 375)

*1:商用読書感想文界隈で一時、マルクス教の代わりにフロイト教を引いて本の感想を述べる「精神分析」という流派が流行ったのでその経緯だろう。読書感想文なら無害だが生身の人間にやっちゃうのは無謀だろう。

*2:男女雇用機会均等法も成立、浮浪者は希望すれば皆保護施設に入れる。が、相変わらず不幸な人は要る。そして左派理念に基づいて建国した国々が軒並み民衆蜂起で滅びた事で、それらの社会問題は日本の左っぷりがまだ足りないから、とは言えなくなってしまった。